音羽屋をより深く知るための本

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歌舞伎界を代表する尾上菊五郎家については、代々の名優についての評伝や聞書きによる芸談が、これまで数多く出版されてきました。 ここでは、代表的な八冊の本をご紹介いたします。このサイトをきっかけに音羽屋に興味を持って下さった方々の参考になれば幸いです。 なお、ご紹介した本の多くは、現在絶版となっていますが、地域の中央図書館や古書店で閲覧・購入はそれほどむずかしくありません。

『五代尾上菊五郎 尾上菊五郎自伝』サムネール

尾上菊五郎
『五代尾上菊五郎 尾上菊五郎自伝』

明治の歌舞伎を挿話で読む

現代歌舞伎の基礎は、明治期に固まったと言われています。この本を読むと、九代目市川團十郎と競いつつ、新しい時代の歌舞伎を探求していった五代目の姿が浮かび上がってきます。第一部の技芸の巻は、出世狂言となった「弁天小僧」からはじまります。一枚の絵草紙を河竹黙阿弥のもとへ持ち込んだところから、新作として作られていった過程がよくわかります。(続きを読む…)

『藝』サムネール

六代目尾上菊五郎
『藝』

六代目自らが藝について語る

六代目菊五郎の『藝』は、「六代目の襲名」「市村座行進曲」「演出口傳小話」を中心に構成されています。
「六代目の襲名」では、五代目が亡くなった直後、九代目市川團十郎の口上を得て、弱冠十九歳で襲名した話からはじまります。襲名狂言の「曽我の對面」では、團十郎が初役で工藤祐経を勤めるとともに「今の言葉でいう舞台監督をしてくれた」とあります。(続きを読む…)

『尾上菊五郎』サムネール

戸板康二
『尾上菊五郎』

活写する筆によって六代目の魅力が描かれる

尾上菊五郎家代々の評伝ですが、半分以上のページが六代目菊五郎に割かれています。戸板康二らしい洒脱な文体で、六代目の魅力たっぷりの描かれた一冊です。なんといってもほほえましいのは、市村座時代にライバルと評された吉右衛門との交友です。六代目菊五郎が吉右衛門に対して抱いていた競争心は、「名門の子だからといって、いい気になっていると、吉右衛門のような人に追い越されてしまう」という言葉で語られます。(続きを読む…)

『六代目菊五郎評傳』サムネール

渥美清太郎
『六代目菊五郎評傳』

六代目の舞台を克明に追う

演劇の神様とまでうたわれた六代目には、数々の伝記が書かれていますが、生前にまとめられた濱村米蔵の『六代目菊五郎傳(新陽社 1937年)と、年代を追って六代目の舞台を克明に追った本書が、よくその面影を伝えています。
この本を書いた渥美清太郎は、巻頭の「序」で「六代目を神様のようにあがめる人がいる。六代目のしたことなら、なんでも肯定するような人もいる。しかし『評傳』という以上、そんな盲目的なことはできない」と、あらかじめ断っています。(続きを読む…)

『梅の下風』サムネール

六代目尾上梅幸
『梅の下風』

数ある芸談のなかでも名著とされる一冊

この六代目尾上梅幸による芸談は、数々の芸談の中でも名著とされる一冊です。女方の芸談としては、他に五代目中村歌右衛門の『魁玉夜話 歌舞伎の型』(文谷書房 昭和25年)が有名ですが、この『梅の下風』と『魁玉夜話』は、同時代を生きた二人の女方による大きな遺産となっています。『梅の下風』は、雑誌『演芸画報』に連載された記事がもとになっています。(続きを読む…)

『梅と菊』サムネール

七代目尾上梅幸
『梅と菊』

篤実な人柄が伝わってくる

昭和を代表する女方として、六代目中村歌右衛門と好敵手であった七代目梅幸の温厚な人柄が伝わってくる一冊です。
なかなか子供に恵まれなかった六代目菊五郎の養子として、生まれてすぐもらわれていった出生の話が前半の焦点です。五歳からはじまった稽古事、物心ついてから出生の秘密を知ってしまったが、両親に話せず悩んだ日のこと。(続きを読む…)

『七代目菊五郎の芝居』サムネール

大倉舜二
『七代目菊五郎の芝居』

ただ、ひたすら七代目の舞台を追った豪華写真集

写真家、大倉舜二の撮影による、当代菊五郎の豪華写真集です。菊五郎劇団四十周年の年に当たる平成元年(1989)に出版された、この写真集は舞台写真のみにより構成されています。1983年から88年までの約4年半の歳月をかけて撮影された写真の総数は199枚、56作品、66役にもおよび、作品ごとに渡辺保による解説が付されています。(続きを読む…)

『菊五郎の色気』サムネール

長谷部浩
『菊五郎の色気』

七代目、色気の源泉と名跡の重み

著者自身もあとがきで述べているように、この本は、菊五郎という一俳優の評論であると同時に、歌舞伎の主な演目の解説書ともなっています。歌舞伎を、そして菊五郎をよく知る人にとっても、また歌舞伎初心者にとっても楽しめる一冊であると言えるでしょう。
「菊五郎」という名跡をめぐって、当代の襲名から尾上家の代々へと思いを馳せる第一部では、「襲名への道筋」と題する第一章が印象的です。(続きを読む…)