菊五郎・菊之助 役者のことば

2012年11月20日 「残りわずかとなりました」 尾上菊五郎

今月は新橋演舞場に出演しております。

昼の部は「文七元結」で左官長兵衛を勤めております。

今まで、お久・文七・角海老女将お駒も勤めて参りました。

もう五十年前、二十歳の時お久を勤めた時の荒川のおじさん(三世市川左團次)の長兵衛、特に序幕が今でも非常に印象に残っております。

やはり、博打ですべて取られ帰ってくる幕あきが大切で、ここの芝居にすっと入っていければ、後はうまくいけるのではないかと思います。

長屋の薄暗さ、吉原の華やかさ、夜の大川端と照明も大切で気を使っています。

十回目の長兵衛ですが、女房、大家、文七など相手により演じ方も変わりますので、その配役を生かせるようにその都度演じております。こういうところは、時代物にはない世話物のおもしろさです。

夜の部は「四千両小判梅葉」の野州無宿富蔵を演じております。

とにかくこんなに台詞の多いお役はないのでは?と思う程しゃべりっぱなしです。

初役の時、紀尾井町のおじさん(三世尾上松緑)の家に出演者全員集まり牢屋の儀式を教わりました。五代目菊五郎が本物の囚人だった人に聞いたりして、言葉・しきたり・囚人達の様子などが詳細にリアルに描かれています。

二十五日の千穐楽まで残りわずかとなりました。

日毎に寒くなって参りましたが、是非劇場に足をお運び下さいませ。