菊五郎・菊之助 役者のことば

2011年3月21日 「お見舞い」 尾上菊之助

このたびの東北地方太平洋地震によって、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

この災害によって亡くなられた方々を思うと、悲しみで心がいっぱいになります。ご冥福をお祈り致します。

思いがけないこの緊急時ではございますが、私たち歌舞伎役者は懸命に舞台を勤めなければならないと、今、改めて思います。不安や心配に心を満たされる時、舞台をご覧になることで、現実の厳しさから、いっときお心を解き放す事ができれば、なによりの喜びです。私にできることは、観客の皆様のお気持ちが向いたときに、よい舞台をご覧いただけるように、これからも変わらず、毎日毎日、歌舞伎の舞台を粛々と勤めて参る事だと思っております。

また、このたび、私の一家について、ご心配を頂いた事にお礼を申し上げます。父、母、姉、ともに無事で、舞台や映像の仕事を以前と変わらず勤めております。ありがとうございました。

大変困難な時期ではございますが、皆様とともに、希望の光を高く掲げて、生きていきたいと存じます。きっと、この災害を私たちは乗り越えることができる。そう信じております。


2011年3月7日 「少しづつ春めいて参りました」 尾上菊五郎

今月は、新橋演舞場に出演しております。

昼の部は、「曽我綉侠御所染」で御所五郎蔵を演じております。6度目でございます。播磨屋(中村吉右衛門)さんの土右衛門とは初めてで、ご一緒出来嬉しく思っております。

御所五郎蔵と言えば、この星影土右衛門との出会い、愛想尽かし、殺しの場が演じられますが、通し狂言の中で、やはり一番華やかでおもしろい場で、お客様にもわかりやすいお話でございます。

勘違いし、人違いをし殺してしまうおっちょこちょいのそそっかしい五郎蔵。

土右衛門との掛け合いは勿論ですが、土右衛門の門弟に五郎蔵はムカつく訳ですから、門弟の役者さんには大いに小憎らしくムカつかせて頂きたいと思います。

七五調のセリフですので謡い過ぎてしまわない様に…それでもある程度は謡う様に…心は世話物で演じます。

夜の部は、「源氏物語/浮舟」で時方を演じております。

播磨屋さん演じる匂宮の腰巾着の様なお役です。残酷な悲劇のお話の中で少し空気の変わる様な役回しですが、物語の雰囲気を壊さないように演じたいと思います。

少しずつ春めいて、お出掛けしやすくなって参りました。新橋演舞場でも「御所五郎蔵」では桜が満開です。劇場まで足をお運び頂ければ嬉しく存じます。